Lesson 4-3 腸内環境の影響

腸内環境が関係する病気

腸内環境の乱れは、体調だけではなく、肌や髪にも影響を与えます。腸内環境が乱れているということは、善玉菌が減り、悪玉菌が増えた状態です。悪玉菌から作り出される有害物質が腸管から吸収され、血流を介して全身を巡っているのです。皮膚や頭皮に到達した有害物質は細胞レベルで悪影響を及ぼします。
結果、肌あれや吹き出物、皮膚がくすみ、乾燥しやすくなり、そして頭髪が育毛されにくくなったりします。腸内環境が悪化した状態では、いくら頑張ってケアを行っても肌や髪は綺麗にならないのです。
乳癌は日本人女性の最も多い癌です。そんな乳癌も腸内環境と関係があると考えられています。アメリカのカリフォルニア大学による乳癌と便秘の関係の調査で、乳房細胞から異常細胞が発見された割合に明らかな違いが見られます。
排便の回数が週2回以下の女性4人中1人、毎日排便のある人達では20人中1人に前癌細胞が見つけられました。(※前癌状態:放置すると癌ができる確率が高い状態)
排便の回数が少ないと乳癌発症リスクが5倍も高いのです。乳癌が増えた理由は食生活が欧米化することでしょう。肉食中心の食生活になることで、腸内環境が大きく変化したのです。
これら以外にも、肥満や花粉症、アトピー性皮膚炎、心臓病、炎症性腸疾患、大腸癌などが腸内環境と関係しているといわれています。腸が全ての病気の原因、というわけではありませんが、腸内環境を良くすることにより様々な病気の予防が出来ることが期待できます。
 

腸内環境の変化

胎児の腸は無菌状態です。生後から細菌との関わりが始まります。授乳期の腸内細菌は約90%が善玉菌のビフィズス菌といわれています。ところが、授乳や呼吸などによって腸の中に住む細菌が変わっていき、離乳期を経て大人と同じ食事を摂るようになると悪玉菌が増え、腸内環境は大人のバランスになっていきます。
腸内環境はそれぞれ個性があり全く同じ人は1人もいないといわれています。しかし、生まれたての赤ちゃんは母親と腸内環境が似ます。父親とは似ることはほとんどありません。母子でビフィズス菌を比較すると約75%一致するという研究結果もあります。これは産道で母親の腸内環境を受け継ぐためです。そのため帝王切開では母親から細菌を受け継ぐ可能性は低くなります。母親の腸内環境を良くすることで、生まれてくる赤ちゃんの腸内環境を良い状態で生むことが出来るのです。
母親以外にも同じ病院で同じ日に生まれた赤ちゃんの腸内細菌は高確率で似通っているという研究もあります。生まれた病院や環境内に存在した微生物が感染し常在したことを示しており、女性としては少し心配になる話ですね。
 
ですが、腸内環境は生まれた状態で決定するものではありません。良くするのも悪くするのも普段の生活、特に食生活が大部分を決めるので、心がけ次第で改善していくことが可能です。
腸は第二の脳とも呼ばれるように、非常に大切な器官です。最初に紹介した腸揉みやこれから説明する食事などで、健康な腸を手に入れるようにしていきましょう。