先ほど、腸内細菌には3つの種類があることを学習しました。ここでは、それぞれについて詳しくみていきましょう。
善玉菌
善玉菌の代表格として、乳酸を作り出す乳酸菌、乳酸や酢酸を作り出すビフィズス菌、酢酸や酪酸を作り出すルミノコッカスやコプロコッカスが挙げられます。有機酸である乳酸、酢酸、酪酸は腸内を弱酸性にする効果があります。これにより、悪玉菌による腐敗の進行を防止し、悪玉菌自体の繁殖や有害物質の吸収を抑えてくれるのです。
善玉菌には以下のような働きもあります。
- 血圧を下げる。
- 癌の予防効果。
- インフルエンザを予防する。
- 花粉症を改善する。
- アトピー性皮膚炎の症状を抑える。
- ピロリ菌を抑える。
- コレステロールを下げる。
- 内臓脂肪を減らす。
- 皮膚機能を良くする。
- 過敏性腸症候群や炎症性腸疾患の症状を和らげる。
- 牛乳や乳製品で下痢する人の症状を和らげる。
- 抗生物質を飲んだときの下痢の症状を良くする。
- 老化の予防。
- 骨密度の減りを抑える。
- 紫外線による皮膚のダメージを抑える。
悪玉菌
悪玉菌には、ウェルシュ菌やブドウ球菌、緑膿菌、病原性のある大腸菌などがあります。
悪玉菌は腸内で有害物質を作り、腸壁の細胞を傷つけていきます。それが癌を引き起こしたり、肝臓を弱らせたりするのです。肝臓機能の低下によって解毒が間に合わなくなると、有害物質は体中に回ってしまいます。これが生活習慣病や老化に繋がるのです。
善玉菌とは反対に、悪玉菌は腸内をアルカリ性にするので、免疫機能を下げます。さらに悪玉菌が優位に立つと、便秘になったり、悪臭を持つおならを発したりします。
このように悪玉菌が優勢になることで、体には多くの悪影響が及ぼされるようになるのですが、悪玉菌は決して不要な菌では無いのです。善玉菌は悪玉菌と戦うことで、効果を発揮してくれるという側面もあります。
また、これらは人間の体にとって悪影響を及ぼすため「悪玉菌」と称しておりますが、他の動物にとって必要な栄養素を作ったり、病原菌を撃退する働きを持っているなど、状況によっては活躍できる面も持っております。
日和見菌
日和見菌は善玉菌、悪玉菌のどちらにも当てはまらない菌です。
無毒株の大腸菌や連鎖球菌、バクテロイデスユウバクテリウム、クロストリジウム、などが代表的なものとして挙げられます。日和見菌は善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方する菌です。日和見菌は全体の70%と腸内細菌の中で1番数が多いため、これらが悪玉菌に加勢すると、腸内細菌のほとんどが悪影響を与える存在になってしまいます。