便秘のタイプ
腸は非常に敏感な臓器ですから、ちょっとしたことで便秘を引き起こしてしまいます。一時的なストレスや生理不順等が原因で便秘を起こすことがありますが、こういった一時的なものは自然と回復していくので心配はいりません。
一般に「便秘」と言われるものは慢性的に続く便秘です。さらに慢性的に続く便秘にもいくつかの種類があります。
弛緩性便秘
日本人に最も多い便秘は弛緩性便秘です。弛緩性便秘は大腸の動きが悪くなり便を押し出すことが出来ずに腸に便が溜まってしまうタイプの便秘です。
便が腸の中に滞っている時間が長いので水分が失われます。
そのため、兎糞状便などの硬い便になります。苦労しないと排便ができない上に、せっかく便が出てもあまり爽快感が無く、残便感があるのが特徴です。排便が無く腸内に便が溜まるということは、悪玉菌が増えることになり、有害なガスが発生します。ガスが溜まることにより、腹の張りを感じます。
けいれん性便秘
けいれん便秘は精神的なストレスや生活環境などの影響で発生する便秘です。腸の動き自体は活発になっていますが、けいれんしているように動きます。腸機能が活発になりすぎていることによって消化や吸収と腸運動の速度が噛み合わず便秘だけでなく下痢も起こしやすい特徴を持ちます。
便がうまく運ばれないため、兎糞状便になりやすく、排便後も残便感を感じることが多い傾向があります。また、大腸が過剰に運動するため、胃腸が活発に動く食後に下腹部全体や特に左下腹部に腹痛がみられることが多くなります。
直腸性便秘
肛門や直腸の異常で便を押し出すことができない症状を直腸性便秘といいます。これは肛門付近の直腸まで便が来ているのに、上手く排便出来ないタイプの便秘です。
本来は便が直腸に到達すると、直腸の神経が刺激され、それが大脳に伝わることで便意を感じるのですが、便意をあまり感じないのが直腸性便秘の特徴です。直腸に長く便が溜まっていると、水分を奪われて便は硬くなります。そして余計に排便が困難になるとうい悪循環に陥ってしまいます。
普段から便意を我慢する癖がついていると、直腸性便秘になる心配があります。痔になると排便時に痛みがあるため、我慢し、結果的に直腸性便秘になってしまうということも考えられます。また、便秘が酷くなると浣腸で出す習慣を付けてしまっても直腸性便秘になり易いです。
このように、一口に便秘と言っても原因は様々です。3つのタイプを説明しましたが、それぞれ複雑に絡んでいるパターンもありますので、どれかに必ず当てはまるというわけではありません。複数のタイプに跨る人は自分のタイプを見極めて、自分に合った対処をしていくことが大事になります。