便秘の弊害にはどういったものがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
便秘の弊害
便秘または隠れ便秘を放置しておくと腸内に便とガスが充満し、腸が圧迫されます。それにより、腹の張りや痛み、吐き気を起こします。圧が高まってしまうと腸がほとんど動かなくなってしまい、吐いてしまうこともあります。便として出すことが出来ないため、塞がっていない口から出るしかないのです。
便秘を放置することにより、腸閉塞、腸捻転、大腸癌、大腸憩室症、直腸癌、腸のポリープ、切れ痔、裂け痔、脱肛などの病気になることが考えられます。女性の悩みとして多い肌荒れや冷え性、むくみ、そして体臭の原因にもなります。
これらは便が長時間腸内に留まっていること、つまり腸内環境の乱れが原因で起こる症状です。腸内環境が乱れているときは、調子の良いときと違い悪玉菌が増殖しています。これにより便が腐敗発酵してしまうのです。
腐敗発酵便が長時間腸に居座ることにより、毒素が長時間発生することとなります。発生した毒素は腸壁から吸収され血液に入り体内を巡るようになります。この毒素が汗や皮脂に混じって排出されることにより体臭に影響し、呼気に混ざることにより口臭にも影響します。腸内に便が留まることによって老廃物も溜まってしまいます。その結果、老廃物も腸から血管、そして全身へと回ってしまいます。肌荒れ、頭痛、肩凝り、などを引き起こしてしまう、というメカニズムです。
体の中のことですからなかなか自覚的になるのは難しいことですが、老廃物が溜まったまま排出されないという状況は、部屋中に生ゴミを放置したまま悪臭を放っている状態と同じです。
この状態が長く続けば、外にもその悪臭が漂ってきたり、様々な場所に滲み出て弊害が出ることはイメージしやすいでしょう。実際、ひどい便秘に悩まされている人は体臭が便のニオイがする、ということもあるそうです。
便秘が長く続くのは非常に危険な状態であると言えますね。
ミニコラム:女性に便秘が多い理由
男性よりも女性の方が便秘に悩む人は多く、約2倍になります。1番大きな理由は女性ホルモンにあります。男性の場合は、毎日ほぼ一定のリズムでホルモンが分泌されるのが特徴です。女性の場合卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つのホルモンが一定の周期で交互に多くなったり少なくなったりを繰り返し、体調に影響が出ます。
そのうちの黄体ホルモンは血管への水分の吸収を促進してしまう効果があります。その水分は妊娠中ならへその尾から赤ちゃんに送る栄養分に含まれたり、胎内の羊水にも使われたりしますが、大腸内の水分が少なくなると腸内の便を柔らかくする機能が低下してしまうため、便秘になってしまう可能性を高めてしまいます。生理前になると黄体ホルモンの分泌が増えるため、普段は調子良く排便があっても、生理前になると便秘になる可能性が高まるのです。
女性ホルモン以外には筋力も便秘に影響します。便は、腹筋と肛門括約筋の働きによって排便されるので、これらの筋肉が衰えていると排便力が低下してしまいます。女性は男性に比べて筋力が弱く、特に排便に関係する筋力が弱いせいで便秘に繋がりやすいと考えられています。
筋力の低下は女性だけでなく、高齢者が便秘になりやすい原因でもあります。70歳を過ぎると、腸の筋肉の弾力性は若いときと比較して約25パーセントも低下することがわかっています。腸の筋肉の弾力性の低下は、10代をピークに始まるとされています。そのため20代でも、腸の運動が弱くなっている可能性が十分にあり得ます。
女性に多い無理なダイエットや朝食抜きも便秘が多い原因になっているでしょう。これらの点を踏まえ、便秘への対策をしていくことが大切です。