Lesson 3-4 便

便の成分

健康な人の便は1日およそ100~300g程度で、約75%水分が含まれています。意外と水分が多いのがわかりますね。下痢をしていると水分量が増え、逆に便秘のときは水分量が減ります。残り25%は、腸内細菌とその死骸が3分の1、腸の粘膜が剥がれたものが3分の1、残りの3分の1が繊維質など食べ物の消化されなかったものが含まれます。
便というと食べたものの残りカスというイメージが強いかと思いますが、実は便の成分のうち食べ物由来のものは全体の1割に満たないことがわかります。

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便でわかる腸内環境診断

便は腸内環境の状態を反映するため、自分の便をチェックすることは、健康な状態なのか、なんらかの異常があるのかを知る貴重な手がかりになります。腸のプロとして知識を身につけていくからには、ここで挙げるような項目を普段からチェックしてみるクセをつけるといいでしょう。

指標1: 色

便の色は便の大腸通過時間で決まってきます。短いほど明るい黄色で、長いと焦げ茶に近づきます。黄色から茶色までは健康な便の色と考えていいでしょう。
濃い焦げ茶色の便は、腸内細菌のバランスが乱れ気味で、善玉菌の勢力が衰えている兆候です。便秘気味の時や、食物繊維不足、肉を多く食べると出易くなります。
緑色の便は、腸炎などで腸内細菌のバランスが大きく崩れた時に、胆汁が酸化されずにそのまま出た場合です。子供は消化機能や免疫も未発達ですから、すぐに乱れるため、子供の排便でよく見られます。大人の場合は、抗生物質を服用すると緑色に近い便がでることもあります。
赤色の便は血便です。血便や便に血がついてる場合は消化管の出血を疑う必要もあります。それ以外にも、大腸癌やポリープ、虚血性大腸炎、潰瘍性大腸炎などにより赤い便になることもありえますので、血が混じっている場合は医療機関を受診するのがベストです。
黒い便、特に便秘で硬い便ではなく、どろっとした黒い便はその色からタール便と呼ばれています。疑われる病気は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃癌、炎症、ポリープ、潰瘍など多数あります。病気でない場合は、蒼鉛という金属の化合物を含有する抗潰瘍薬を服用している場合、金属を含有する鉄剤のサプリメント、甘草やブルーベリーを食べた時ても、黒い便になる場合があります。この場合は心配ありません。
白い便は、胆汁色素が腸管に流れなくなっていると考えられます。胆石や胆嚢、膵臓癌、肝臓の異常が考えられます。

指標2: におい

「便=くさい」というのは正しくありません。生まれたての赤ちゃんの便は臭くないのですが、これは赤ちゃんの腸内環境はとてもいい状態で、悪玉菌が少ない状態だからです。
便のにおいは、食べたものを悪玉菌が分解した際に発生するアンモニア、硫化水素などのさまざまな物質が原因となります。これらの物質はたんぱく質を含む食材に含まれる窒素が元となって発生するので、たんぱく質を含む食材を多く食べることでもニオイが発生しやすくなります。
便が臭い状態は腸内環境が良くないサインですので、当たり前の状態だと思わずにチェックしていきましょう。

指標3: 形

便の形も腸内環境を知るための情報になります。自分の便をチェックしたことのある方はわかるかと思いますが、固くてコロコロした便、綺麗なバナナ状の便、泥のようにどろっとした便、液体状の便などその時々によって形も変わっていますよね。綺麗なバナナ状で(ソーセージ状とも)表面が滑らかなものが理想的な便とされます。
この形については世界的な指標で「ブリストルスケール」というものがあり、

  1. コロコロ便:硬くてコロコロの兎糞状の便
  2. 硬い便:ソーセージ状であるが硬い便
  3. やや硬い便:表面にひび割れのあるソーセージ状の便
  4. 普通便:表面が滑らかで軟らかいソーセージ状あるいは蛇のようなとぐろを巻く便
  5. やや軟らかい便:はっきりとしたしわのある軟らかい半分固形の便
  6. 泥状便:境界がほぐれてふにゃふにゃの不定形の小型便・泥状の便
  7. 水様便:水様で固形物を含まない液状の便

というように分類されています。

これらの指標を総合的に考えて、自分の腸の状態をチェックしてみてください。