Lesson 5-2 酵素の活用

食べ過ぎない・空腹時に食べることが一番大切ですが、もちろんその限られた食事として何を腸に入れるかはとても大切です。
その際の選び方のひとつのキーワードが酵素です。
 

酵素と種類

酵素は、消化の過程で様々な働きをする欠かせない存在です。唾液のアミラーゼ、胃液のペプシンなど、食べ物の成分を分解していくこれらの有名な物質も酵素の一種です。
体内で生成される酵素を「体内酵素」と呼び、この体内酵素も働きによって「消化酵素」「代謝酵素」の2つに分類されます。体で作られるものではなく、食べ物に含まれる酵素のことは「食物酵素」と呼びます。
消化酵素の働きは、大まかにいうと食べ物を分解し吸収できる形にすることで、代謝酵素はその吸収した栄養素を利用できるように変換・使用していくときに役立ちます。
ここで注意したいのは、吸収したからといって有効に体が活用できるわけではない、ということです。吸収しただけで活用ができないと、肥満の原因やその他様々の不調の原因になります。そのため、代謝酵素も消化酵素もどちらもバランスよく働くことが大切です。
 

消化酵素の節約がカギ

代謝酵素、消化酵素は体内で生成されますが、それらの元となる潜在酵素の量には限りがあります。つまり、消化酵素をたくさん消費すればその分代謝酵素の働きが弱り、逆に消化酵素を節約すれば代謝酵素がより活躍できるということです。
たくさん酵素が必要になる動物性たんぱく質などやジャンクフードを多く摂取すると、それらを全て処理させようとたくさんの消化酵素を生成します。こうなると代謝酵素の働きが鈍り、様々の不調の原因になります。
そんなときに役立つのが「食物酵素」です。
食べる量を減らす、空腹時に食べる、というのは消化酵素の必要量を減らすのに役立ちますが、食べもののなかにはそれ自体が酵素を含んでいるものがあります。
よく魚と一緒に大根おろしを食べると消化を助ける、と言われますが、それは大根おろしに含まれる酵素の働きです。
食物酵素が豊富に含まれる食品を食べると、体内酵素だけでなく食物酵素も一緒に消化をする手助けをしてくれるので、消化酵素の節約になるのです。
 

酵素の特徴

そんなとっても嬉しい食物酵素ですが、どんな食べものにでも含まれるわけではなく、扱いに注意が必要な特徴があります。

熱に弱い

酵素は50度前後で性質が変わってしまうという特徴があります。これを酵素の変性と呼びます。そのため、もともと酵素が含まれる食品であっても、加熱調理することでその酵素が失われ、体内酵素の節約の役割を果たさなくなってしまいます。
そのため、腸に優しい食べ方をするには、生かほとんど加熱をしない状態の新鮮な食品を多く摂取することが大切です。
 

1つの働きしかしない

ここでは「酵素」とひとくくりにしていますが、酵素には実に3000もの種類があると言われており、様々なものがあります。
そして注意が必要なのは、1つの酵素は1つの働きしかしない、という特徴がある点です。
消化酵素として例に挙げたアミラーゼはデンプンを分解しますが、たんぱく質は分解できません。さらに魚と豚ではたんぱく質の構造が違うため、1つの酵素で複数の食品を分解できるわけではないのです。
そのため、特に消化に負担のかかる食材は、同時にたくさんの種類を取らないようにすることが消化酵素の節約に役立ちます。
 
このような酵素の特徴を踏まえ、うまく活用することで腸の活動をより健康的にしていきましょう。